未来永劫、高配当が続くのなら喜んで投資するのですが・・・株の配当金で生活する事を目標とするセミリタブログは、結構多いです。
確かに、早期退職して、株の配当金だけで生活出来れば、これほど楽な暮らしは無いかも知れません。
では、果たして、夢の配当金生活が可能なのかどうか検証してみましょう。

上記は、2007年1月26日時点で高配当株上位5銘柄に投資した場合の、日経平均ETFとのパフォーマンス比較表です。
高配当株の中でも、減配リスクが少しでも小さいモノを選ぶために、自己資本比率60%以上・時価総額500億円以上という条件をクリアしたランキング上位から5番目までを無作為抽出した銘柄です。
一応、2007年の四季報でもチェックしましたが、財務や配当の安定性に何の問題も見られませんでした。
にも拘わらず、この体たらくはどうでしょうか?
この13年の間にはリーマンショックという超クラッシュを挟みながらも、市場平均はしっかりと高値を更新して41%超も上昇しているのに比べ、高配当利回り軍は業績もガタ落ちしてかっての高配当が減配されてすっかり利回りが下がり、結果として株価は見る影も無く崩落してしまいました。
もしも上記ポートフォリオに日本オラクルが無ければどんな酷い惨状になったのかを想像すれば、高配当銘柄投資がリターンが安定的で下落相場に強いという一般的な見方は、全くの錯覚で、実はとんでもハイリスク投資をしていたという事が、ハッキリと分かります。
因みに、高配当株が如何にハイリスクかは、例えばセミリタ界隈の時の人だった「ぬこ」さんは、配当金生活を目指して、東京電力に全力投資したあげく、3.11東日本大震災の1日で資産の大半を失い精神崩壊してしまった事でも有名です。
他にも、武富士等、当時高配当で有名だった株でも市場から消え去った銘柄は結構多いものです。
ならば、たった5銘柄に集中投資するからダメなんであって、もっと分散を利かせば、優位性が出るのでは無いかと思われるかも知れません。
それでは、高配当ETFと市場平均と比較してみましょう。
↓

上記の通り、高配当の分を含めても、圧倒的に市場平均よりダメダメなパフォーマンスしかあげられていません。
まるで、ひと昔前に一世風靡したグローバルソブリンで、見かけ上の高分配金につられて投資した人が基準価格自体が下がってしまいトータルではマイナスになったように、高配当ETFも分配金自体は高利回りですが、基準価格が冴えない動きのせいで、トータルでは、これだけの大相場にも拘わらず、市場平均に大負けしているのです。
どうしてでしょうか?
本来効率的な市場形成が為されている株式市場で、高利回りな値段のまま放置される事は、通常は有り得ず、必ず高利回りになるだけのリスクを内包されているからこその高利回りなのです。
短期的には、そのリスクは顕在化しなくても、やはり10年〜13年もの長期になればそのリスクが顕在化され、投資家が高配当で得たと思った余剰利益は株価の値下がりという形で吐き出し、帳尻を合わされる羽目に陥るモノなのです。
まるで、将来の業績悪化を予言したかのような市場の合理性を見るにつれ、投資の世界では魔法の杖など存在しない事を再確認させられます。
特に日本株は景気循環株が多数を占める為、高配当は長続きせず、ちょっと景気が悪くなるとすぐに減配や無配転落とかしますので、高配当株=安定株とはならないのです。
結局、効率的な株式市場において高配当だけをむさぼり戴くというフリーランチは存在しないという事です。
それでも、どうしても株の配当金で生活したいのなら日経225の平均利回りである2%位のちょぼちょぼな配当利回りの株に投資するのなら、過度にハイリスクな銘柄を少なく出来る事でしょう。
でも、それなら資産が2億円位ないと配当金生活は出来ない事になり、ユメもチボーも無くなっちゃいますよね。
2億り人しかセミリタイア出来ないとすれば、全力投資で3倍株を底値で買って天井で売る特大ホームランを3連続する奇跡を起こすか本当に宝くじに当たらないと無理ですから、チョー範囲の狭い富裕層向けのセミリタブログになっちゃいますので、サラリーマンには無関係です。
だから5,000万位でもセミリタイアできるように、JTとかキャノンとか三井住友FGとかの香ばしい銘柄群のポートフォリオでセミリタを目指すブロガーだらけになっちゃうんですよね。
だって、サラリーマンでも到達できる金額で配当金生活するとなれば、5%位の高利回りがどうしても必要になりますからね。
そうすると、高利回りとハイリスクが表裏一体な銘柄をチョイスせざるを得なくなるという事です。
勿論、掃除夫から億り人になった某有名個人投資家のように、卓越した銘柄分析能力とチャート分析能力とリスク管理能力と天性の相場勘があれば、配当金生活も可能でしょう。
しかし、バケモノ級のハイパフォーマンスを上げ続けてる彼ですら、2億3千万円も貯まってからリタイアしたのです。
彼のように配当金生活の真のリスクを知る人は、配当金生活とはある意味、金持ちの道楽的なモノである事をキチンと認識してるという事なのでしょう。
つまり、高配当株投資法とはそれ自体に特別なエッジのあるストラテジーでは無く、非常に高度な銘柄分析能力と売買技術を要するため、結局、有望な銘柄を良いタイミングで売買するという一般的なスイングトレードと本質的には変わらないのです。
にも拘わらず、高配当株さえ買っていれば、まるで魔法の杖でもゲットしたみたいに他の投資家を出し抜けると勘違いしてる人が多い故に、これだけ配当金生活ブロガーが増えているのでしょう。
そして、そんな勘違い個人投資家が高配当株に群がる故に、上記のパフォーマンス表で実証されているが如くに、市場平均に大負けしているのです。
つまり、本来、もっと高配当にならないと割に合わない位にハイリスクな銘柄が個人投資家が群がる事によって、合理的な値段を超えて割高な株価になってしまっているという事です。
そして、割高に買われた株価は長期的には必ず合理的な値段まで落ちて来る事によって修正させられるモノなのです。
自分には、そんなハイリスク銘柄群からリスクを嗅ぎ分けて、本当に旨味のある銘柄だけを選別する分析能力も、もし業績が急変した場合に即脱出出来る、俊敏さも持ち合わせていない為、とてもとてもそんな高度な投資法は毛頭出来ません。
次回は米国株の高配当株投資法について解説しますので、ご期待頂けるお方はポチッとお願いします。 ↓
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